
本サイトで、成年後見に関するページと相続財産管理に関する業務ページが混在していることに疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、権利の客体である、管理する財産に何ら違いはなく、また、司法書士法、弁護士法によりその根拠法文の構成からも、同列の意味を為すものと言えます。
簡単ですが、まず、相違点などを比較してみます。
また、併せて司法書士と他士業との比較をご覧下さい。
成年後見に関する業務 | 成年後見制度は、後見人が、ご本人に代わって、その財産を管理する代理人の地位に就きます。例えば、預貯金、株式証券の管理のほか、施設・病院の入退所手続をはじめ、在宅介護の方の場合には、各種の税金や公共料金、生活費についてもきめ細かく管理しています。なお、通常は施設の介護職員や在宅のヘルパーなど日常の看護、見守りは委託しますが、身上看護も後見人の業務となります。従いまして、成年後見業務は、生前のご本人の財産管理人としての役割を果たします。 |
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相続財産管理に関する業務 | 対して、相続財産管理は、被相続人であるご本人は既に亡くなられてますので、その遺産(財産と負債)だけが残ることになります。従いまして、相続財産管理は、ご本人の死後に相続人の財産管理人としての役割を果たします。 |
比較(主体と客体) | 1.【主体】権利の主体である財産の所有者は、被相続人であるご本人から相続人へ移転する。2.【客体】権利の客体である財産そのものについては、変更がない。 以上のことから、 ”成年後見に関する業務”と”相続財産管理に関する業務”とでは、管理対象となる客体=財産に変更がないことになります。 |
また、実質的な場面として、相続人のひとりが、(いわゆる認知症の状況にあり)成年後見制度を利用しなくては、遺産分割協議が進められない場面もt数多く遭遇いたします。

相続財産管理業務
相続財産管理業務として、相続人あるいは、遺言の受遺者の全員または、一部から、以下の【基本事項】及び【補充事項】の全部もしくは一部を契約により委任していただきます。
おおむね、【基本事項】の全部もくしは、一部のみご依頼されるケースが多く、例えば、お身体の問題がある、あるいは遠方に在住であって、被相続人の市役所及び関係各署に行くことが困難な場合には、【補充事項】も含めて、ご依頼されるケース多々あります。
ご相談者の事情、意向に沿って、過不足無く、きめ細やかに契約書にご依頼の範囲を明示していきます。
【基本事項】
1.戸籍謄本、住民票の写し、固定資産評価証明書等官公署等の証明書類の請求並びに受領
2.銀行等の金融機関に対する残高証明の請求を始め、預貯金の解約および解約金の受領、貸金庫取引の解約並びに保管物の回収
3.証券会社に対する残高証明の請求を始め、株式・債権等の寄託物件の相続移管または返還および売却、受渡
4.保険会社等に対する、現存照会を始め、払戻金・満期金・保険金・給付金の請求、受領
5.不動産登記の申請手続により、相続人への名義変更登記
6.商業法人登記の申請手続により、相続人への(代表)取締役名等の役員変更あるいは、解散登記手続
7.税理士に対する税務申告手続の依頼
【補充事項】
1.社会保険、年金に関する諸届け、還付金の受領等諸手続など
2.その他官公署に対する諸手続
3.争いの生じている事案については、弁護士などに専門資格者に対する委嘱
4.祭祀承継手続及び墳墓地の名義変更手続
成年後見制度
成年後見制度の趣旨について

成年後見(以下単に「後見」といいます。)制度とは、ある人(以下「本人」といいます。)の判断能力が十分でない場合(認知や記憶等に障害のある方、知的障害者、精神障害者など)に、本人を法律的に保護し、支えるための制度です。
たとえば、本人が、預金の解約、福祉サービスを受ける契約の締結、遺産分割の協議、不動産の売買などをする必要があっても、本人に判断能力がほとんどなければ、そのような行為はできません。
判断能力が十分ではない場合にこれを本人だけで行うと、本人にとって不利益な結果を招くおそれがあります。そのため、本人の判断能力を補うために援助する人が必要になってきます。
このように、判断能力が十分ではない方のために、家庭裁判所が援助者を選び(審判)、この援助者が本人のために活動する制度が成年後見制度です。
成年後見制度の骨子としての考え方は、次の3本柱に基づきます。
ノーマライゼーション
「ノーマライゼーション・自己決定の尊重という理念と本人の保護の調和」が求められています。
そのため、単に財産を管理するに止まらず、本人の生活を支えること(身上配慮義務)が後見人の役割とされています。
自己決定権の尊重
高齢者や障害者であっても特別扱いをしないで、今までと同じような生活をさせようとする考え方に基づいて、本人の自己決定を尊重し、現有能力(残存能力)を活用しようという考え方からなります。
身上配慮義務
本人の状況を把握し配慮する義務及び本人の意思を尊重する義務をいいます。
成年後見制度の類型
本人を、被後見人、被保佐人、被補助人と呼称します。
後見類型 | 本人の判断能力 | 援助者(代理人) | 監督人 |
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後見類型 | 全くない | 後見人 | 援助者(代理人)の監督人が就く場合がある |
保佐類型 | 著しく不十分 | 保佐人 | ※同上 |
補助類型 | 不十分 | 補助人 | ※同上 |
成年後見の申立に必要な書類
対象者 | 必要書類・資料 | 通数 |
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申立人 | 1.戸籍謄本2.住民票(本籍付き) | 各1通 |
本人(被後見人となる方) | 1.戸籍謄本2.住民票(本籍付き)または戸籍の付票 3.身分証明書 4.登記されていないことの証明書 5.診断書 6.その他、財産及び収入・支出に関する資料 7.鑑定書(取得した場合) | 各1通 |
候補者(後見人・保佐人・補助人となる方) | 1.戸籍謄本2.住民票(本籍付き) 3.身分証明書 4.登記されていないことの証明書 5財産及び収入・支出に関する資料 | 各1通 |